足もとに春のにぎわい花韮よ 瑚幸

心や知的な障がいがある人達のグループホームの仕事をしていたことがありました。
毎日の生活のようすを見守ったり、病気や健康管理に生活の相談、夕食を一緒に作ったり、書類などを書くのを手伝ったり、一緒にゲームをしたり、そんなことです。
とある1軒の家の担当になって行ってみると、庭が草ぼうぼうで荒れ放題でした。
庭のことは仕事のうちには入っていなかったんですが、きれいな庭になったら、みんなも喜んでくれるだろうと思いながら、なんとか時間を作って草抜きに取りかかりました。
何日もかけて、やっと裏庭も横も表も全部きれいに抜いて、自己満足したのでした。そうしてある日、ここの前任者に会ったときに、そのことをいったら、
「あの庭には、花ニラがあったでしょう。春になったら、庭にかわいい花がたくさん咲くのよ」
……と、その人はいうのでした。

雑草にまぎれて抜いた花ニラの
小さきあやまちそこここに咲き
「えっ、花ニラ?」
その時はまだ、花ニラというのを知らなかったのです。
花屋の店先にも、園芸店にも、花の図鑑にも載っていないそれは、もしかしたら微妙な位置にある花なのかもしれません。
たとえ雑草だったとしても、それはかわいい青白い小さな花でした。もしかしたらグループホームのみんなも、春に花韮が咲くのを楽しみに見ていたかもしれません。
写真は道端に咲いていた花韮の写真です。上は桜並木に、下は街路樹の根もとに咲いていました。春になると色々なところに咲いているのに、気づきます。
それを見ると、「いつぞやは知らなくって、ごめんなさい」と、私はいつもそっと心の中で謝るのです。
いつもありがとうございます!
いつもありがとうございます。そそっかしい私は、人生でもいっぱいこんなような小さいあやまちをくり返しながら、生きてきたような気がしています。
これは「桜さくら堂」の短歌を、俳句にして新たに詠んでみたものです。
今日は真夏のように暑くなりました。
春の季語も、惜しむ間もなく過ぎ去っていくような感じがしています。